魔王
今週のモーニングで紹介されていたので興味を持ちました。
「腹話術の能力」という微妙な超能力を身につけた男が、ファシスト政治家と対決する「魔王」と、その弟(語り部はその奥さん)の後日談「呼吸」の2編からなります。あまり普通の小説読まないので*1作者の他の作品は知りません。気鋭の作家らしいですね。
「魔王」で、主人公が世界を変えるために出来る事は「とにかく考える事」と「腹話術」のみ。こういう「圧倒的に不利な状況でも諦めない主人公」系 には自分の中の熱い少年ジャンプ魂が刺激されます。人間賛歌は勇気の賛歌！
「呼吸」の静かな雰囲気も「魔王」と対を成していて素敵です。「鳥」のシーンは王道ですがイイ!です。*2
また全体的に暗くならずに軽やかな語り口なのが、作品世界全体を救っています。これは作者の持ち味なのでしょうか。
両作品とも終わり方があっさりしてるというか、投げっぱなし感があるのですが、変に風呂敷を畳むよりはいいかも。両作品にはテーマが色々盛り込んであるので人によっては全く違う感想を抱くでしょう。政治的なメッセージ色が強い気もしますが、(個人的には)そこは適度にフィルタをかけて読んだほうがいいと思います。
一見奇抜な小説ですが基本は外してないと思いました。なかなか面白かったです。
