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スティーブ・ジョブズとパロアルト研究所物語

Lisa/Mac誕生のもとになったスティーブジョブズご一行のPARC訪問のエピソード。関係者によって証言が食い違うエピソードの真相に迫る。
スティーブ・ジョブズとパロアルト研究所物語(改編版)

ただ知っておかなければならないこととして、「未来を作った人々」によれば、PARCのSmalltalkのデモには2つのバージョンがあったという。特に審査に通ったVIP向けのものと一般に見せるものとである。
明らかに1度目は、誰にも見せる式の、いわゆる無害なデモを行った。しかしS.ジョブズは、そのとき自分たちに与えられなかった情報がどれだけあるのかを悟ったらしい。だから「未来を作った人々」いうところの、たった2日後に再び大人数を連れてPARCに再度出向いたのだ。

このジョブズの直感がすごいなー。しかし当然PARCの人たちも当然警戒してこんな感じに。

「未来を作った人々」によれば、アデル・ゴールドバーグはそれを聞いて、激怒のあまり目に涙をうかべ、ハロルド・ホールらに喰ってかかったという。デモを拒否し、大立ち回りの末に彼女は上司の命令だからと、まだ真っ赤な顔をしたままSmalltalkの入ったディスクバッグを持ち、S.ジョブズたちの前に現れた。

ツンデレ? まぁこんな経緯もあってAltoの遺伝子はLisa(とその息子のMac)に引き継がれることになる。
リンク先の文章で感動したのは次の文章。

いわゆるルック・アンド・フィール、すなわちインターフェースの基本的外見と一部の機能がLisaで実現されたことは確かだが、反面メニューバー、プルダウンメニュー、1ボタン・マウス、クリップボードを使ったカット&ペースト、そしてゴミ箱などはApple社自身のいわゆるオリジナルなアイデアだった。
しかし「未来を作った人々」によれば、PARCがLisaとMacintoshの設計者たちに及ぼした影響で最も重要なのは、おそらく精神的なものであり、訪問後にLisaの設計者たちが出した設計要綱は、アラン・ケイやラリー・テスラーの精神の完全な開花と言えた。何しろそこには「Lisaは使って楽しくなければならない」と命じているという。
続けて「このシステムは『仕事だから』とか『上司がやれというから』使うようなシステムにはしない。Lisaを使うことそのものが報酬となって、仕事が充実するよう、ユーザーとの相互作用における友好性と機微には特に注意を払わなければならない」とあるという。

技術を盗んだというよりは、本当の意味でインスパイアされてしまったということかも。
とにかく世界を変えたプロダクトにはやっぱりそれなりの出生秘話があるという話でした。