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アジャイルレトロスペクティブズ

須藤さんインタビューのときに本人のサイン入り本を持っていたのを見て、「あとで感想を書く予定」だったのを思い出したので書いてみる。

アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き

アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き


本書は、プロジェクトの節目におこなう「ふりかえり」ミーティングの手引書である。ある意味、無味乾燥*1な実用書で、ポールグラハム本みたいなハッカー専用癒し本じゃないし、ジョエル本みたいなギャグ本じゃない。書籍として読み下すぶんにはつまらんかもしれない。たしかにスーツ族が読むための本だなぁ。てな感じでアルファブロガーなる人にDISられてたけど、、、
でも、アジャイルってスーツが世界を変えるための武器だもの
実際スーツを着てるかどうかは別として、アジャイル開発プロセスは普通の企業で働いている普通のプログラマがキチンとソフトウェアを作るためのものだ。一人で100倍くらいの生産性を持つ前田慶次みたいなハッカーならば最初から開発プロセスとかどうでもよいのである。
アジャイルな開発やるぜ!と決めても、最初から完璧に出来るわけない。ちょっとした外的要因で揺らいでしまうし、技術的な選択を誤ってしまうこともしばしばある。こんなときに、「ふりかえり」をおこなって、少しずつ修正点を見つけてケアしながら、繰り返し型開発をドライブしていくわけだけど、、、これが意外に難しい。自分なんかズルイ人間なので、すぐ人のせいにしたり、少なくとも外的要因のせいにして逃げたり、なんかつまんないなーと思ったら黙ってしまったりすることがある。人間だもの。
本書には、そんな人間の習性を意識的にコントロールして、「ふりかえり」を健全に運営するためのノウハウが詰まっている。人に責任に転化するのではなく、常に自分を主体として言葉を発する「私が言葉」。喜怒哀楽のような感情データをきちんと収集する「喜・怒・哀」。自分自身の参加している理由を明確にする「チェックイン」などなど。すべてのプログラマが、論理の斧を投げあうようなミーティングに耐えられるわけじゃ無い。ならばコントロールする術を見につけたいと思う。
というわけで、実用書として活かして、初めて意味がある本です。

俺たちは、一分前の俺たちより進化する、
一回転すればほんの少しだけ前に進む、
それがドリルなんだよ!!