沢田マンション超一級資料 世界最強のセルフビルド建築探訪
どくりょう。
- 作者: 加賀谷哲朗
- 出版社/メーカー: 築地書館
- 発売日: 2007/09/21
- メディア: 単行本
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以下はWikipediaの「沢田マンション」のページより
沢田マンション(さわだマンション)は、高知県高知市薊野(あぞうの)北町に建設された、集合住宅である。鉄筋コンクリート建築を専門職として手掛けたことのない者が、夫婦二人で(のちにはその子も加わって)造りあげた。通称、「沢マン」(さわマン)。現況は、鉄骨鉄筋コンクリート構造、敷地550坪、地下1階地上5階建て(一部6階)、入居戸数約70世帯/約100人居住。
これだけの規模の鉄筋コンクリートマンションをセルフビルドするのは、世界でも類を見ないそうです。ソフトウェアの世界で喩えれば、素人が巨大基幹系ソフトウェアを作るよりすごい。
車で各階にアクセスできるスローブや、巨大クレーンやリフト、水田や庭園と池まである屋上といった、沢田マンションの外観は確かに異形です。しかし、このマンションは奇想天外な思いつきで建てられたものではなく、自分の生活に必要?な設備を自分達の手で作る事を繰り返しながら、漸進的に形を変えて進化してきたのです。(ちなみに12戸しか無い時から入居を始め、何回かの工期に分けて規模を拡大しています。イテレーティブですね)
生活が建築物の形を決める、まさにパターンランゲージが目指す世界です。ここには確かに「無名の質」があると思います*1。ちなみに建設者の故沢田嘉農さんは風水に造形が深かったらしく、マンションの場所選びや建設も風水に則って行われたようです*2。風水というのは東洋古来のパターンランゲージなのかもしれません。
本書では、沢田マンションの歴史、工法の特徴や、住民コミュニティについて、さまざまな類似例を挙げながら説明しています。ざっくりしすぎていて、一つ一つは突っ込み所が足りないかもしれませんが、僕のような素人には丁度良いです。この本でちょっと泣けた箇所は、沢田嘉農さんは、亡くなる直前に屋上に支柱を立てさせたというエピソードです。もしかしたら、さらなる建設の意思を示して、後代に託したのかも知れないです。仕事というのはそうありたいですね。
もちろん写真や間取りを見るだけでも探検気分になって楽しい、オススメ本です。