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恋する建築

人と建築が双方向にコミュニケートするような親しい関係をもつことを模索する作者が、「恋する建築」というテーマを思いついたのは、採光と圧迫感の除去のために設けられた壁のくぼみに、その家の少女が寄り添うようにすっぽり座っている風景を見たとき。

恋する建築

恋する建築


タイトルや本の装丁の雰囲気から考えて、鼻持ちならんやつが書いた鼻持ちならない本なのかなーと誤解してましたが、内容はなかなか面白かったです。
この本で繰り返し述べられているのは、設計プロセスでの「距離」の重要性です。建築を考えるときの平面図や断面図は、建物をぶった切って無限遠の距離から眺めたものだし、外観図も距離をとった視点から描かれる。
建築家が設計した空間が、白くてマテリアルの質感を無視したものになってしまうのは、このような設計時の距離感に問題があると述べられてます。そのため著者は、実際に手で触れることができる素材や構成のレベルから色々試行錯誤することを好むようです。光を透過する断熱材を探したり、極細の鋼管柱で構造を支えてみたり。(ただ建築業界を知らない自分としては、(普通の)アーキテクトがどのレベルの作業をして、どの程度分業が行われているかよく分かりません)
これはソフトウェア業界に当てはめると、「アーキテクトもコードを書くべき」「本物の洞察は、実際にコードを書くことからもたらされます」という話と似ている気がします。*1

*1:安易にソフトウェア業界に当てはめるのもよくないのですけどね