熱血先生と森毅

　体罰を加えたことをわびる教諭に、教諭の熱意を正面から受け止めた児童と保護者。京都府京丹後市の市立小学校で、「クラスメートへのからかいをやめなかった」とクラス全員に体罰をした男性教諭（２８）が辞表を提出した。しかし、保護者のほぼ全員が辞職の撤回を求める署名を提出。思いとどまった教諭は謹慎処分が解けた８日、児童らと互いに謝罪し、きずなを深めたという。市教委は「近年、学校に理不尽な要求をする保護者が増える中、教諭の熱意が通じたのでは」としている。

ドラマっぽい美談として紹介されてるけど、僕自身はこの事件に関する是非はよくわかんない。少しだけいじめと同質の同調圧力っぽいものも感じるけど、その場にいないとよくわかんない。まぁ関わった人たちがハッピーならいいんじゃないという感じ。
それよりも、気になったのはこっち。

　森毅・京都大名誉教授の話　
「熱心だから体罰が許されるという話ではない。教師が体罰をするなら辞めるしかないと思うし、保護者らはそれを非難するにしても支持するにしても、もう少し学校と冷静に付き合う手だてがあるのでは」

このコメントに対して、はてブとかで「的外れ(by id:naoya）」「空気嫁」、2ちゃんだと「日教組の権化」「反日」みたいな意見が書かれててちょっと悲しかった。
この人は、もっと飄々した人で、こんな頭でっかちなイメージじゃないんだけど。多分編集されたんじゃないかな。意図的にどうこうという話じゃなくて、新聞言葉に直す段階でニュアンスが失われたとか。

ネットで見つけた森毅の名言.

「そう言えば、ぼくも子どものころ、「お前のような奴は軍隊で鍛え直さねば」と言われたもので、こっちも「死んでも鍛え直されたりしてたまるか」と思ってはいたものの、人間を粘土みたいにこねまわしたがる奴は、軍人であろうと教師であろうと、一生呪うことにしている。」
「「狂者」を「きのどくな人」とはとらえまい。だいたい、「きのどくな人を大事にしましょう」というのと、「きのどくな人をなくしましょう」というのを、両立させることには無理がある。大事なものは残すべきだし、なくしたほうがよいものを大事になんかできるか。人間文化のために、「狂者」は大事に残しておいてほしい。」

この人が書いた数学者偉人伝みたいなのを昔よく読んでて、ちょっとファンなので気になった。確かに今回のコメントの字面だけ読むとひどいんだけど、本来は柔軟性を持った人だと思うよ。*1

*1:もちろん年とって頭が硬くなったという可能性も否定できない。それはそれで悲しいことなんだけど