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困ってるひと

大野更紗さん著のエッセイ「困ってるひと」。読了しました。

難病女子による、画期的エンタメ闘病記!

ビルマ難民を研究していた大学院生女子が、ある日とつぜん原因不明の難病を発症。自らが「難民」となり、日本社会をサバイブするはめになる。
知性とユーモアがほとばしる、命がけエッセイ!!

困ってるひと

困ってるひと

まず最初に自分はお涙頂戴難病モノ小説や映画は、絶対読まない見ない人間です*1。この本はそういう本ではないので安心してほしいです。

あらすじだけ見ると深刻そうなのですが、基本この本の文章がめちゃくちゃ面白いのです。冷静に考えると結構辛い状況も(不謹慎な言い方ですが)楽しく読ませてしまう文章力が素晴らしい。

自らの人生のQOL*2を守るためにお医者さんとバトルしたり、MRI検査(耐えられないほどうるさい)を「私はブッダだ!」と思い込んで耐えたり、病院で出会った男の人との院内デートのベタな状況に「韓流ドラマか!」とセルフ脳内突っ込みしたり、いたって普通?の面白いエッセイです。能町みね子さんのイラストもすごく雰囲気にあってる!

ポプラビーチで連載されていた闘病エッセイというと、31歳ガン漂流を思い出します。あの本も闘病記というよりは、少し尖がったおっさん(というには少し若いが)の、日常が楽しいエッセイ本でした。「感動したいなら他の本読んでくれ」というのがその本の作者の言分。

本書とはそれと同じ面白さと力強さを感じます。人間として生まれたら、難病でもガンでも特に病気してなくても、どういう状況であっても日常をサバイブするしか無いわけで、そんな中をちょっとでも楽しく過ごせるパワーをもらえる本だと思います。

*1:諸事情があり本当に嫌いです

*2:生活の質ってやつですね